「やさしさの香りとは?」
「やさしさ」は目に見えにくいもの。五感で感じるとはどういうことだろう?やさしさの香りを一緒に考え、ワークショップのプログラムにも組み込んだことややさしさについて一緒に考えてみました。
EXHIBITION FLOWERS OF KINDNESS
やさしさの香りワークショップ
ルミコ:ワークショップで香りでご一緒することになった香りのアーティスト・近田梨絵子さんです。今回ワークショップでは、やさしさの花を咲かせる作品を作るのですが、なんとやさしさの香りもつけられるようになっています。
近田:香りとアートを融合してやさしさの作品を作る。その香り担当としてお話をいただいた時 とても光栄に思いました。そして作品に香りを取り入れていただけることがとても嬉しかったです。
今回「やさしさの香り」を表現するにあたり、 オレンジスイート、柚子、ラベンダー、ゼ ラニウム、ひのきなど西洋の香りと日本の香りを提案させていただきました。 柚子は破棄予定の皮から、ひのきは日本の間伐材から香りを抽出したサスティナブルな精油(エッセンシャルオイル)ですので、環境にも"やさしさ"を感じてもらえたらと思いました。
ルミコ:ワークショップでは、やさしさの香りを嗅いで、やさしさのエピソードを思い出して書き出していきます。視覚のみではない五感で感じたり表現するプログラムをずっと入れたかったので、今回挑戦できてとっても嬉しいです。
視覚以外で感じるということ
近田:妊娠中に原因不明の胎児発育不全で、極超低体重児で出産しました。そしてNICUを退院する直前に、医師から網膜に異常があるから目が見えないかもしれない、と告げられました。結果としては、弱視ですが、今のところ日常生活は支障なく過ごせています。
ただ「目が見えないかもしれない」と告げられた時、今までどれだけ視覚に頼っていたか、そして目が見えない人にとっては視覚以外の五感がどれほど大事なことなのかを知り、アロマの道に進むきっかけとなりました。
ルミコ:今回、ダイアローグ・イン・ザ・ダークを体験されましたが、どうでしたか?
近田:視覚に頼らず世界を感じるということは 頭の中で想像するのと、体験するのとでは 全く違うものでした。 日頃、人より嗅覚は意識しているはずなんですが、それでもやはり照度ゼロの世界での五感の使い方は、今まで使ったことのない感覚の扉を開かせてくれる、そんな体験でした。 そして暗闇の中で見えたのは、目が見える見えないは個性であり、それを認め合う"優しさ"そのものでした。
「大切なものは、目に見えない」
近田:私の大好きな言葉「大切なものは、目に見えない」
世界中から愛されているフランスの名作『星の王子さま』にある有名なフレーズです。
香りも目に見えないもの。
香りは目に見えないけれど、確かにそこに存在し、私たちの心と体に癒しという’優しさ’を与えてくれます。
そして香りは記憶と連動していると言われ、その時の情景がアロマと共に強く記憶に刻まれ、同じような香りを嗅いだ時、記憶が蘇ります。
香りを通じて、
ワークショップ参加者の心と体に癒しを与え、その想い出を香りと共に記憶に刻み、みんなの作品が合わさって、世界に一つの’やさしさの香り’を五感で感じて頂けたらなと思ってます。
「やさしさとは、目に見えないもの」近田梨絵子
SPEAKERS
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近田梨絵子(JOAA 日本オーガニックアロマ協会 代表)
「大切なことは目に見えない」。自身のお子さんが弱視診断を受け、香りの世界へ。2022年3月には、廃棄予定の資源から香りを生み出す、和精油オーガニックブランド『Muku』を展開予定。
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ルミコ・ハーモニー(LITTLE ARTISTS LEAGUE)
LITTLE ARTISTS LEAGUE共同代表、アーティスト、アクティビスト。フィンランド人と結婚し三児の母になったことをきっかけに、気候変動問題をはじめとする社会問題を意識するように。オーガニック展でのこどもの絵のコンテストの審査員を務めるなど、アートを通じて社会課題を解決するアプローチをしています。